議事録などの重要書類を保管していなかった
ベンチャー企業では、IPOの審査やM&Aにおけるデューデリジェンスの際はもちろんの事、ベンチャーキャピタルからの出資を受ける際にも議事録その他の書類を提出する場面があります。
議事録についてはそもそも作られていないという事もありますが、適切に保管されていないということも多いようです。
議事録は作成保管の義務があります
会社法では様々な書類の作成・保管の義務が定められていますが資金調達の際に写しの提出が必要なるなどシード期からでも最低限準備する必要があるものとして下記のものがあります。
保管が必要な書類
・定款
・株主名簿
・新株予約権原簿
・貸借対照表・損益計算書・附属書類
・株主総会議事録
・取締役会議事録
※会社法においては様々な書類の保管(備置き)の義務が定められています。
上記は一例です。
保管が必要な書類について
定款
最近では設立時の原始定款は電子定款として作成されることが多いと思います。
その場合、公証役場から受取ったCDROMに記録された定款のPDFをプリントアウトしたものが定款の写しとなります。
なお、定款の備置き期間が定められていませんので永久保管となります。
株主名簿
会社設立後、税務署に「法人設立届出書」を提出する際に作成されたことがあると思います。
株主の氏名・住所や所有する株式数を記録したものです。記載事項は多少異なりますが登記申請の際にも必要となります。
なお、株主名簿は備置き期間が定められていませんので永久保管となります。
新株予約権原簿
新株予約権を発行した会社は作成が必要になります。
新株予約権を発行した後、遅滞なく、新株予約権者の氏名・住所や新株予約権の内容・個数などを記載した新株予約権原簿を作成する必要があります。
こちらも、株主名簿と同様に備置き期間が定められていませんので永久保管となります。
貸借対照表・損益計算書・附属書類
株式会社では、毎年、計算書類(貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表)及び附属明細書を作成し定時株主総会で株主の承認を得る必要があります。
定時株主総会を開催した後には、議事録を作成し計算書類と事業報告を一緒に保管しておいてください。
これらの書類は10年間保管となります。
株主総会議事録
毎年開催される定時株主総会及び臨時株主総会について議事録を作成し10年間備置きする必要があります。
いわゆる書面による株主総会(会社法第319条)により開催がされなかった場合でも議事録の作成は必要です。
株主総会議事録についてはこちらもご参照ください。
取締役会議事録
取締役会が開催された場合には議事録を作成し10年間備置きする必要があります。
株主総会同様、書面による取締役会(会社法第370条)の場合でも議事録の作成は必要です。
まとめ
シード期のベンチャーでは、IPOやM&Aは数年後とお考えの方もいらっしゃると思います。
しかしながら、上記に掲げた最低限の書類は資金調達の場面でも必要となります。資金調達の場面では交渉に手一杯になってしまい提出書類の準備が間に合わないという事も考えられます。
そのためいつでも対応できるよう予め準備そしておくことをお勧めします。
リソースが足りず対応できない場合には専門家を活用することもご検討してみてください。