株主総会議事録の作成と保管
株主総会については、開催後に議事録を作成し、総会の日から10年間、会社の本店(その写しを支店にも)に備ええ置く必要があります。
株主総会議事録を作成していないことによって、株主総会決議が無効になるといったことはありませんが、議事録の作成は、会社法上の義務ですし、決議に基づき登記が必要な場合には、登記の添付書類として、株主総会議事録は必ず必要になります。
また、IPOを目指しているベンチャー企業では、IPOの審査において、議事録は、チェックされますので、設立当初の段階からそれを意識した対応が必要です。
株主総会議事録の記載事項
株主総会議事録の記載事項は、会社法施行規則第72条に規定されています。
主な記載事項としては、次のとおりです。
(1)株主総会が開催された日時及び場所
通常は株主総会が開催された日時と場所のほか、発行済株式の総数と議決権を行使することができる株主の総数とその議決権数及び出席した株主の数とその議決権数を記載します。
(2)株主総会に出席した取締役及び監査役の氏名
出席した取締役及び監査役の氏名を記載します。また、総会当日に、会場に来ることができずに、テレビ会議システム等により総会に参加した場合には、その旨及び場所を記載します。
(3)株主総会の議長が存するときは、その議長の氏名
株主総会の議長は必須ではありませんが、一般的には、定款に議長についての定めがあることから、その規定に基づき、議長が総会の議事運営を行います。
(4)株主総会の議事の経過の要領及びその結果
「議事の経過」とは、報告事項や決議事項に関する議案やその内容その他質疑応答の内容等です。その詳細すべてを議事録に記載する必要はなく、要点を記載すればよく、別紙という形で作成し、株主総会議事録と一緒に保管する方法でも問題ありません。
「その結果」とは、審議された決議の内容をいいます。
原案どおり可決された場合や原案が修正されて可決したなどです。
なお、通常は、具体的な賛成の数や反対の数まで記載する必要はありません。
(5)議事録の作成にかかる職務を行った取締役の氏名
出席取締役の所または株主総会の末尾に記載します。
株主総会議事録の押印について
法律上、株主総会議事録には、原則として押印義務はありません。しかし、原本を明らかにし、改ざんを防ぐ観点から、議事録作成者が押印することが望ましいと考えます。
また、実務上、定款において押印についての規定がされていることが多く、その場合には、当該規定に従うこととなります。