定款は、会社の商号や本店の所在地、事業目的、任期など会社運営の基礎となる事項を定めた重要なものです。
会社法によって本店及び支店に備置きしておく必要がありますが、定款を紛失されているというお客様もいらっしゃいます。

今回は定款を紛失してしまった場合の対処法について解説します。

原始定款と定款

定款とは、会社の商号や本店の所在地、事業目的、任期など会社運営の基礎となる事項を定めたものです。

定款は、会社を設立する際には必ず作成します。
この会社を設立する際に作成し、公証人の認証を受けたものを「原始定款」といいます。
その後、会社の本店が変わる場合や会社の事業内容が変わることに伴い、定款の内容が変更されることがあります。
「原始定款」から定款の内容が変わったことを反映したものが定款(現行定款ともいいます。)です。

現行定款には3パターンが考えられます。
・原始定款と定款変更を決議した株主総会議事録を合わせたもの
・原始定款に定款変更を反映させた内容を記載した書面
・原始定款に定款変更を反映させた内容を記載した電子ファイル


原始定款には、公証人の認証文と認証印がありますのでこの認証文付の物のみが定款と思われている方もいらっしゃいますが、会社の設立後は、株主総会の決議を経て定款変更を行うことができますので、その変更を反映させたものが現行定款となります。

定款を紛失してしまった場合の対処法

定款を紛失した場合でも、現行定款の内容さえ分かれば再生をすることができます。
しかし、原始定款も紛失していまい、定款の内容がまったくわからないという場合には下記の方法があります。

1 原始定款の認証をした公証役場で原始定款の謄本(写し)を取得する

公証役場では原始定款が20年間保管されています。そのため会社の設立時に定款認証をうけた公証役場が分かる場合には、公証役場で原始定款の謄本を取得することができます。

ただし、あくまでも原始定款ですので会社設立時の定款内容しかわかりません。当然ですが設立後の定款変更は記録されていませんので注意が必要です。

2 登記を依頼した司法書士に問い合わせる

会社の設立やその後の変更登記を司法書士に依頼している場合には、事務所でデータを保管している可能性があります。
特に顧問税理士がいる場合には定款の写しを保管している可能性が高いと思います。

3 法務局で申請書類を閲覧する

法務局では、登記申請書とその付属書類を閲覧することができます。
登記申請時には原始定款を添付していますし、その後の変更登記においては定款変更を決議した議事録を添付しています。
ただし、法務局では閲覧に限られますので写しをもらうことはできません。そのため実務的にはスマホ、デジカメで撮影して内容を確認しています。
なお、申請書類の保存期間は5年間となります。

4 定款の再生

前記の方法で定款の内容を確認することが出来ればそれをWordなどで書面化すれば問題ありません。
しかし、いずれの方法でも定款の内容を確認することができなかった場合はどうすればよいのでしょうか

この場合には、定款を再作成し、定款変更の手続きを行い再作成した定款を現行定款とするしかありません。

定款変更の手続き

1.新しい定款の作成

最新の登記事項証明書(履歴事項全部証明書)を取得し、その内容にそって定款を作成します。

主な登記事項として下記の項目があります。
これらの内容は登記事項証明書を確認しながら定款を作成しましょう。
・商号
・目的
・本店

(定款では具体的住所までは定めず、「東京都●●区」など、行政区画までしか定めません。)
・公告をする方法
・発行可能株式総数
・株式の譲渡制限に関する規程

2.株主総会の決議

株主総会に決議によって新しく作成した定款を現行定款とする定款変更決議を行います。
定款を変更するためには株主総会の特別決議が必要です。

3.定款を保管

現在登記されている内容と再作成した定款の内容が一致していれば、登記申請は不要です。
また公証人の認証も不要です。

まとめ

定款は、金融機関との取引時や助成金・補助金を申請する際など急に必要になる場合もあります。
手元に定款変更の履歴を記録した定款が保管されているかどうか、今一度ご確認されることをお勧めします。

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