2022年改正の会社法のポイントは?株主総会資料の電子提供制度を解説!

こんにちは、ゆう司法書士事務所です。

2022年9月1日に改正された会社法により株主総会資料の電子提供制度が施行されました。2023年3月以降に開催される株主総会からは株主総会資料を自社のホームページなどのWEBサイトに掲載し、株主に対して当該WEBサイトのアドレスなどを書面により通知する株主総会資料の電子提供制度が開始されます。

株主総会資料の電子提供制度とは、今までは株主に対して株主総会の資料を書面で交付することが義務付けられていたものを、自社のホームページに掲載することで、株主に対して株主総会資料を提供したこととする制度になります。

今回のコラムでは、新しく施行された改正会社法の株主総会資料の電子提供制度について、会社法に詳しい司法書士がわかりやすく解説していますので、ぜひ最後までお読みください。


目次

株主総会資料の電子提供制度のメリットとデメリットを司法書士が解説!

2022年9月1日から株主総会資料の電子提供制度が施行されました。

会社が所定の手続きを行うことで、株主がホームページ上で株主総会の資料を閲覧できるようになります。この制度により機関投資家などは各社の議案を検討する時間を十分に確保できますし会社側は郵送コストや配布の手間を省くことができます。

この株主総会資料の電子提供制度を導入するには手続き面や運用面での注意点がありますので、今回のコラムでは電子提供制度を導入する手続きと導入後の注意点について詳しく解説いたします。

株主総会資料の電子提供制度が施行された背景を解説します。

多くの上場企業では、定時株主総会を6月下旬に実施しています。こうして集会の時期が集中することで、多くの上場企業に投資する機関投資家などが、総会の資料に目を通す時間を十分に確保できないという理由が、この制度が施行された背景になります。

旧会社法でもインターネット上に株主総会の資料をアップして株主に提供する仕組みはありましたが、実施するには個別に株主の承諾を得なければならないために株主が多い上場企業では現実的な方法ではありませんでした。

そうした背景もあって2022年(令和4年)9月1日より株主総会資料の電子提供制度が正式に施行されました。

電子提供制度が適用される条件

電子提供制度は、すべての株式会社に適用されるわけではなく、この制度が適用されるのは以下の株式会社に限ります。

  • 振替株式発行会社(上場会社はすべて該当します。)
  • 電子提供制度を提供する旨を定める定款変更を決議して登記した株式会社

上場会社(振替株式発行会社)は2022年9月1日より電子提供制度の採用が強制されます。非上場会社では定款を変更して変更登記をすることでこの制度の採用が可能になります。

振替株式発行会社(上場会社はすべて該当)

振替株式発行会社とは、株券電子化をおこなっている会社のことで現在上場している株式会社はすべて該当いたします。この振替株式発行会社は2022年9月1日時点で電子提供措置を採用する定款変更の決議をしたものとみなされます。

定款の変更には、原則として株主総会の特別決議が必要になります。特別決議の成立には議決権の過半数を持つ株主が出席して3分の2以上の議決権が必要になります。電子提供制度が強制されるにもかかわらず要件が厳しい定款変更の決議を課すと上場会社の負担が大きくなりますので、このような経過措置が設けられました。なお、定款変更の決議は必要ありませんが定款変更の登記の申請は必要になります。

振替株式発行会社以外の株式会社

上場会社以外の株式会社は、定款変更のための前述した株主総会の特別決議をおこなう必要があります。ただし、新たに設立する株式会社については設立の際に作成する定款に電子提供制度を採用する旨を定めることが可能になります。

定款変更の登記手続きを解説します。

会社の登記事項に変更が生じた場合には原則2週間以内に変更登記をしなければなりません。定款の変更も会社の登記事項に該当するため、効力発生日である株主総会から2週間以内に登記を済ませる必要があります。ただし、上場会社(振替株式発行会社)の場合の定款変更登記の期限は2022年9月1日から6か月以内と定められています。

なお、この期間を過ぎてしまうと代表者に対して100万円以下の過料の制裁が科される恐れがありますので、登記の申請は速やかに行いましょう。また、上場会社か否かに関わらず申請1件につき3万円の登録免許税が必要になります。

株主総会資料の電子提供制度導入の注意点を解説します。

株主総会資料の電子提供制度は、株主側にとっては各会社の議案を検討する時間を十分に確保できるというメリットがあり、また会社側にとっては資料作成予算や郵送コストをカットできるというメリットがあります。

ただし、株主総会資料の電子提供制度はインターネット経由で情報を公開するため、公開期間中のサーバーのダウンやハッキング被害などの問題が懸念されます。これらにより情報公開が中断された場合は株主総会決議の取り消し事由になるだけでなく、過料制裁の対象にもなります。こうしたことを防ぐためにもWEBサイトの記録を保存しておくことや複数のWEBサイトで株主総会資料の電子提供措置を行なっておくことも必要な対処法になります。

株主総会の電子提供制度はゆう司法書士事務所に相談を!

株主総会資料の電子提供制度は、株主側にも会社側にもいろいろとメリットのある制度ですが、この制度を採用するためには、定款変更やその登記などの手続きが必要であり、また実施後も危機管理面の対策が重要になります。

株主総会資料の電子提供制度の採用は、会社法だけでなく、インターネットやシステムトラブルにも知見が深い当事務所にお気軽にご相談ください。

ここまでで、今回のコラムの「2022年改正の会社法のポイントは?株主総会資料の電子提供制度を解説!」のテーマの解説は以上になります。

ゆう司法書士事務所では、今回のコラムで解説した株主総会資料の電子提供制度の手続きを始め、M&Aや資本政策としての増資、ストックオプション、株式分割といったとても専門性が高い業務を得意分野としていますので、企業経営をしている方でお悩みがある方はぜひ当事務所の無料相談をご利用ください。必ず御社のスムーズな経営にご協力が出来ると確信しています。

 

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