減資のメリットやなぜ減資を行うのか?押さえておきたいポイントを解説!
こんにちは、ゆう司法書士事務所です。
株式会社などで資本金を増やすことを増資と言いますが、逆に資本金を減らすことを減資と言います。増資の方が耳にする機会は多いと思いますが、新聞やニュースで大手企業が減資を行ったということを耳にすることもあります。
一般的に増資の方が良いイメージであり、減資をすることはあまりよくないことのように思われがちですが、実は減資をすることで、さまざまなメリットを得ることができるのです。
今回のコラムでは、減資とはどのようなものか、その定義やメリットとデメリットについて、会社法に詳しい司法書士がわかりやすく解説していますので、ぜひ最後までお読みください。
実は減資にもメリットがあります!減資のメリットを詳しく解説します!
減資とは、会社の資本金を減少させる手続きのことになります。また、資本金とは事業を開始するときに株主から集めた資金のことをいいます。
そして減資とは、この集めた資本金を減少させることです。ただ資本金を減少させるといっても、あくまで帳簿上の動きであるため、実際に発行済株式の数が減少するということではありません。
減資を行うのには「株主への財産の払い戻し」「欠損の補填による経営の立て直し」「節税」の3つの意味があります。減資には「有償減資」と「無償減資」の2つの種類があり、それぞれで手続きやメリットとデメリットが異なります。
有償減資の内容とメリット、デメリットを解説します。
有償減資とは、実際に資金が減少する減資のことになります。
有償減資は、おもに「株主への財産の払い戻し」の目的で行われます。有償減資の手続きをすることで、生じた余剰金を株主に対して支払います。実際に資金が減少する訳ですので、減資の結果で会社の資産もその分減少いたします。
例を挙げますと、減資する前の会社の状況が「現預金10億円」「負債4億円」「資本金6億円」だったとします。ここで株主に配当を支払うために1億円を減資したとします。 有償減資では、実際に資本金が減少する手続きを行い、現預金と資本金がそれぞれ1億円ずつ減少します。減資した結果の会社の状況は「現預金9億円」「負債4億円」「資本金5億円」ということになります。
有償減資のメリットを解説します。
有償減資の1番のメリットは株主に対して配当金を出すことができる点になります。
会社の業績が上がらずに利益が出なかった場合は株主に対して無配当となりますが、株主との良好な関係を続けるために利益が出ていない状況でも配当を支払いたいと考えることがあります。もちろん資本金から直接に配当を支払うことはできませんので減資をして作った剰余金の中から株主に対して配当を行います。
有償減資のデメリットを解説します。
有償減資のデメリットは当たり前ですが、会社の財産が減ってしまうことです。
会社の財産が減ってしまうことで、将来的な投資が難しくなることはもちろんですが、金融機関からの融資の審査が厳しくなるといったデメリットがあります。将来の会社の成長性を考えても今後の資金繰りが苦しくなるといったリスクがあります。
無償減資の内容とメリット、デメリットを解説します。
無償減資とは、有償とは逆で資金の減少がない減資のことになります。
無償減資は「欠損の補填による経営立て直し」と「節税」の目的で行われます。欠損金とは決算上の赤字のことをいいますが、無償減資の結果で資本金を取り崩して欠損金の穴埋めをすることで経営常態を立て直すことができます。
例を挙げれば、減資する前の会社の状況が「現預金10億円」「負債4億円」「資本金7億円」「欠損金1億円」だったとします。その欠損金1億円の補填ために1億円を減資いたします。無償減資では資金が減少することのない手続きを行うために、現預金は変動がなく、資本金と欠損金が1億円減少します。減資した結果では会社の状況は「現預金10億円」「負債4億円」「資本金6億円」になります。
無償減資のメリットを解説します。
無償減資のメリットは、経営の立て直しができることと節税ができることになります。
過去に大きな赤字があった場合や赤字の年が連続して続いた場合は、ご自身の会社に欠損金がたまっていきます。一般的に繰り越された欠損金が多いと、金融機関からの融資などを受ける際にはマイナスに働きます。
この欠損金については黒字が出るか資本金で補填しないと消すことができません。無償減資をすることで資本金を取り崩して欠損金を減少させることができますので、その結果、金融機関などからの資金調達がしやすくなります。
無償減資が節税につながるのは、資本金が税制的な優遇措置と関係しているからです。税金面において資本金1億円を超える大企業と1億円以下の中小企業では、1億円以下の中小企業のほうが、さまざまな優遇策を受けることができます。
資本金が1億円を超えている企業は無償減資を行い資本金を1億円以下にすることで、それらの優遇措置を受けることができるようになりますので結果として節税に繋がります。
無償減資のデメリットを解説します。
無償減資のデメリットは、信用力が低下する恐れがあるということです。
会社の信用力は売上高や利益など、さまざまな面から判断されますが、特に中小企業の場合は資本金の金額が大きいほど信用される傾向にあります。無償減資で資本金の金額が減少して信用力が低下すると、新しい取り引きなどが難しくなる可能性があります。
今回の記事では減資のメリットとデメリット、そして押さえておきたいポイントについて解説をいたしました。
減資と聞くとネガティブに捉える方もいらっしゃいますが、ポジティブな要素もたくさんあることがご理解いただけたと思います。長く会社経営を続けていく中では、減資という選択肢もあるかもしれませんので、ぜひ今回のコラムで解説した減資のメリットやデメリットをよく理解した上でご自身の会社の状況に合った選択をしていただきたいと思います。
ここまでで、今回のコラムの「減資のメリットやなぜ減資を行うのか?押さえておきたいポイントを解説!」のテーマの解説は以上になります。
ゆう司法書士事務所では、今回のコラムで解説した減資に関する手続きを始め、M&Aや資本政策としての増資、ストックオプション、株式分割といったとても専門性が高い業務を得意分野としていますので、企業経営をしている方でお悩みがある方はぜひ当事務所の無料相談をご利用ください。必ず御社のスムーズな経営にご協力が出来ると確信しています。
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