今回は、株式会社の機関設計について解説します。

株式会社の機関設計

従来は、株式会社の機関として、取締役会と監査役は必ず設置する必要がありました。
そのため、役員の最低人数は、取締役3名と監査役1名で合計4名必要でした。
小規模な家族経営のような株式会社では、父、母、息子が取締役となり、祖母や祖父が監査役となるなど、人数合わせのために役員に就任させるというような事がありました。

現在の会社法では、株式会社の機関設計は、会社の規模に応じて柔軟に設計することが可能となりました。
そのため、 株主=取締役=代表取締役 というような最低1人で株式会社を設立することが可能です。

機関設計のポイント

機関設計は、様々な組み合わせにより数多くのパターンが考えられますし、機関設計にはルールもありますので、どのような機関設計にするかということは非常に悩ましい問題かもしれません。
しかし、設立にあたってまずは、次の2つを決めて頂ければ大丈夫です。

  1. 取締役会を設置するかどうか
  2. 監査役の監査権限をどうするか

(1)取締役会の有無によって、取締役の最低人数が異なりますが、重要な違いは、株主総会の権限(株主総会で決議できる内容)が異なるという事です。

取締役会の無い会社では、株主総会はすべての事項について決議をすることができます。
一方、取締役会設置会社では、株主総会は、決議できる事項に制限がかかります。例えば、株式譲渡の承認、募集株式発行の際の割当など

ポイント

取締役会を設置するかどうかを選択する一つの基準は、株主の性質と株主総会の開催が容易かどうかという点です。
株主が身内のみで少数である場合など、株主総会の開催が容易な場合には、取締役会の有無は、経営に影響はないと思います。
逆に身内以外の株主がいるなど、株主総会の開催が容易でない場合には、取締役会を設置することをおすすめします。

監査役の監査権限について

取締役会を設置した場合には、監査役の設置は必須ですが、取締役会がない場合には、設置の有無は任意に決めることができます。

監査役とは、主に取締役の業務執行(会社の経営)を監査します。
この監査の範囲について、次の2つのパターンがあります。

  1. 業務監査権限と会計監査権限をもつ
  2. 会計監査権限のみをもつ

監査役は、業務監査権限と会計監査権限の両方をもつというのが原則です。
定款で、会計監査権限のみと定めることにより、監査権限を制限することができます。

業務監査権限のある監査役は、取締役会の出席義務があるなど、監査権限の有無により、その業務の責任と負担は、大幅に異なります。
監査役は、株主に代わって取締役の業務執行を監督というのが、基本的な役割となりますので、監査権限をどうするか、という事は、株主のスタンスにより決められるといえます。

ポイント

スタートアップ段階の小規模な会社では、その会社の会計を担っている会計事務所の税理士先生が監査役になるというケースがよくあります。
そのような場合には、会計監査権限のみの監査役とするのが一般的です。

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