株式会社の設立にあたって決めなければいけない事項の解説その2
今回は、次の3つについて解説します。
- 設立時発行株式数
- 資本金
- 事業年度
6.設立時発行株式数
出資された資本金に対して何株を発行するかというものです。
発行株式数は次の算式で算出されますので、1株あたりの払込金額がきまれば、自動的に決まります。
出資された額 ÷ 1株あたりの払込金額 = 発行株式数
では、1株あたりの払込金額は、いくらに設定すれば良いのでしょうか
1株1円でも、100万円でも任意の額に決定することができます。
ただし、あまり高額に設定してしまうと、増資が難しくなる可能性があります。
仮に、1株100万円とした場合には、順調に会社が成長していれば、その価格以上で増資をすることとなります。
1株あたりの払込金額が高額の場合には、出資できる人が限られてしまうということも考えられます。
一つの目安としては、旧商法からの流れで5万円というのがあります。
ポイント
IT企業など、企業の成長スピードが早い業種では、1株あたりに払込金額は、低めにしておくことをおすすめします。
1株あたりの払込金額が少額の方が、増資やストックオプションを発行する際に、柔軟に割当数を決定することができます。
7.資本金
以前は、株式会社の設立にあたっては、最低1000万円が必要であったため、設立のハードルは高いものでした。
個人事業主よりも、株式会社の方がより信用力が高いというのは、これも一因があると思います。
現在の新会社法のもとでは、1円から株式会社の設立ができるようになりましたが、1円による設立は現実的ではありません。
設立には、登録免許税や司法書士報酬などで30万円程かかりますし、実際に事業を運営していくには、当然資金が必要となります。
1円では、それらの費用をまかなうことはできませんので、借入れに頼ることになってしまいますね。
資本金の目安としては100万円以上をおすすめします。
ポイント
- 初年度は、通常消費税の課税は免除されます。しかし、資本金が、1000万円を越えると初年度から消費税が課税されますのでご注意ください。
- 許認可が必要な事業によっては、必要な資産の要件がある場合がありますので、事前にお調べすることをおすすめします。
なお、設立後に増資を行う場合には、登録免許税(最低3万円)がかかります。
8.事業年度
会社の決算期を定めるものです。事業年度の終期は、いつにするかについては、自由に決めることができます。
なお、事業年度は、1年と超えることはできませんが、例外として事業年度の末日を変更した場合には、変更後の最初の事業年度については、1年6ヵ月までは許容されています。
ポイント
上場企業の多くは、事業年度の終期を3月末日としていますが、上記のとおり制限はありません。よって、自社が行う事業の繁忙期を避けるなどの事情を考慮して決定されるのがおすすめです。