合同会社を株式会社に変えることはできますか?
というご相談を頂くことがあります。

合同会社には、株式会社に比べてメリットがありますが、一方、株式会社にしか出来ないこともあります。

合同会社の設立後に株式会社へ変更したいという場合には、合同会社は、社員(株主のようなもの)全員の同意によりいつでも株式会社に変更(組織変更)することができます。

 合同会社のメリット

1.設立費用が安い

合同会社を設立する際は株式会社と異なり公証人の定款認証が不要です。
また、設立時の登録免許税についても最低6万円から、と最低15万円かかる株式会社に比べると低額です。

2.決算公告が不要

株式会社では毎年の定時総会の後に決算公告をする義務があります。
この決算公告は一般的には官報で行うこととなりますが、官報の掲載費用として、7万円程度かかります。

一方、合同会社ではこの決算公告の義務がありません。

3.役員の任期がない

株式会社では、取締役と監査役の任期はそれぞれ、取締役2年・監査役4年(株式譲渡制限のある株式会社では10年まで任期を伸長することができます。)と定められています。
そのため、役員改選期の定時株主総会では役員を選任する必要がありますし、同一の方が再任された場合でも役員変更登記が必要となります。

一方、合同会社では任期がありませんので改選の必要もありませんし、役員変更登記も不要です。

 

合同会社のデメリット

1.株式会社に比べ認知度が低い

合同会社という会社形態は一般的に認知度が低いため対外的な信用度は株式会社に比べると低いと言えます。
そのため、法人との対外的な取引が多い事業では不向きな場合があります。
また、取締役・代表取締役という機関は存在しないため、代表取締役と名乗ることはできません。
代表取締役ではなく代表社員という肩書きになります。

2.第三者からの出資は望めない

合同会社は、社員=業務執行者となるため、基本的には出資者の立場と経営者の立場は同一です。
そのため、第三者に出資だけしてもらうというのは難しいと言えます。
また、重要な意志決定を行う場合には社員全員の一致が必要となるため、信頼できる者に社員となってもらう必要があります。

合同会社の株式会社へ組織変更の手続きについて

1.組織変更計画の作成

組織変更計画を作成します。組織変更後の株式会社としての商号、目的、役員の任期、取締役会の設置の有無や監査役の設置の有無などを検討して作成します。
なお、変更と同時に会社の目的や役員も変更することができます。

2.社員全員の同意

組織変更計画に定めた効力発生日の前日までに、総社員の同意を得ます。

3.債権者保護手続き

合同会社の債権者を保護するための手続きとして、下記の事項を官報に公告します。

・組織変更をする旨
・債権者が一定の期間内に異議を述べることができる旨

また、存在が分かっている債権者に対してはそれぞれ催告(催告書の送付)をする必要があります。

なお、官報公告及び催告書の到達一定の期間内に当該組織変更について異議がない場合には、債権者は組織変更について承認したものとみなされます。

4.組織変更の効力発生

組織変更計画に定めれらた日に株式会社となります。
その後2週間以内に登記申請をする必要があります。

5.登記申請(解散と設立)

合同会社が、株式会社に組織変更しても権利義務関係に変更はありません。
しかし、登記手続き上は合同会社の解散登記と組織変更による株式会社の設立登記を同時に行うこととなります。

費用について

報酬

書類作成・官報公告申込手続き・登記申請:8万円

登録免許税

株式会社の設立登記:3万円
合同会社の解散登記:3万円

手続き内容
  • 現状の定款の確認
  • 株式会社の定款の作成
  • 議事録等書類の作成
  • 官報公告原稿の作成
  • 官報公告申込手続き(官報掲載費用 概算3万2000円)
  • 株式会社の設立登記
  • 合同会社の解散登記

※1 資本金の額×1000分の15 又は 3万円のいずれか高い額となります。ただし、株式会社への移行と同時に資本金の額が増加した場合には、当該増加分については、1000分の7となります。  

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