日本で設立できる法人の組織形態は主に5つありますが、その違いについてよくわからないという方は多いのではないでしょうか。
株式会社はよく聞かれますが、いざ自分で会社を設立しようとしたときに、合同会社や一般社団法人などいくつかの選択肢もあることで迷ってしまいますよね。
今回は、株式会社と合同会社の違いについて、それぞれのメリットを含めてご紹介します。

株式会社と合同会社の違い

日本で設立できる法人の種類は、主に以下の5つです。
・株式会社
・合同会社
・一般社団法人
・一般財団法人
NPO法人

このうち、一般社団法人、一般財団法人、NPO法人は営利を目的としない法人ですので、事業を行う法人としての選択肢としては、株式会社か合同会社のいずれかが選ばれる傾向にあります。

株式会社は、株式を発行して集めた資金で運営する会社です。
出資者の委任を受けた経営者が経営し、出資者(株主)と会社を経営する経営者の役割は切り離されています。

合同会社は、株式会社と違い、出資者と会社の経営者は同一です。合同会社では出資者のことを社員と呼び、出資者(社員)のすべてが業務執行権を持ちます。

以下に株式会社と合同会社の相違点をまとめました。

<株式会社と合同会社の相違点>

 株式会社合同会社
意思決定株主総会を実施して決定社員が決定
会社の所有者株主各社員(出資者)
会社の経営者取締役業務執行社員(選任しない場合、社員全員)
役員の任期通常2年、最長10年任期なし
監査役の人数任意不要
会社の代表者代表取締役各社員(代表社員を決めることも可能)
決算公告義務あり義務なし
定款公証人による認証が必要作成は必要、認証は不要
利益配分出資割合に応じる定款で自由に決められる(出資割合は関係なし)
設立手続きの費用約18万円~約6万円~
株式発行による資金調達可能不可

株式会社のメリット

ここでは、株式会社を選択した場合のメリットをご紹介します。

社会的な信用度が高い

株式会社は合同会社に比べて、社会的な知名度が高いため信用度も高い傾向にあります。

国税庁の調査では、約286社中株式会社は91.2%、合同会社は5.6%を占めていることから、知名度は圧倒的です。

資金調達などどのような会社かを知られているため、金融機関や他社との取引をスムーズに行いやすいということがいえるでしょう。

株式発行による資金調達が可能

株式を発行することで資金調達ができる点は、株式会社だけが持つメリットです。
株主は出資額以上の責任を負わないことも、出資を集めやすい理由の一つです。
資金調達がしやすくなり、大規模な事業展開ができるようになります。

相続や事業承継が比較的行いやすい

株式の譲渡や相続により経営権を移行させられるため、株式会社の事業承継は比較的スムーズに行えます。
合同会社の場合、持分を譲渡したとしても出資者の同意を得られなければ経営権を持つことはできず、第三者に引き継ぐことが困難になっています。
対して、株式会社の場合は過半数の株式を譲渡することで経営権の譲渡も可能です。

合同会社のメリット

一方で、合同会社にはコストの節約ができたり、意思決定がしやすかったりといった特徴があります。
合同会社のメリットを詳しく見ていきましょう。

設立費用や維持費が抑えられる

合同会社は株式会社に比べ、会社設立時にかかる費用が安いということが挙げられます。また、決算公告や役員の任期更新など、株式会社では必須の諸費用はかかりません。

会社設立時の手続きにおいて、株式会社が15万円ほどかかるのに対し、合同会社は6万円程度です。株式会社には必要な定款の認証も、合同会社の場合は必要ありません。

また、株式会社の場合は取締役などの任期が決められており、最長10年以上役員を続けるのであれば登記をしなくてはいけません。

その点、合同会社は任期がないため、登記は不要です。

経営の意思決定がしやすい

株式会社の場合、会社の方針など重要事項の決定をするには、株主総会を開催しなければなりません。
一方、合同会社は総社員の同意があればいいので、経営陣のみでスピーディに経営の意思決定ができます。

利益分配の自由度が高い

株式会社は資金を出した比率に応じて利益配分するため、出した資金が多いほど多くの利益を受け取る仕組みになっています。
合同会社では出した資金額とは関係なく、定款で利益配分を定めることができます。
例えば業績が良かった年は多めに配分するなど、資金額によらずに利益配分を決めることが可能です。

まとめ

株式会社は意思決定に株主総会を経る必要がありますが、その分社会的な信用があったり、資金を集めやすかったりするので、大きな事業をしやすいでしょう。
対して、合同会社は知名度が低いことや資金調達の手段が限られますが、費用が抑えられること、意思決定が円滑にできることが強みです。

どちらにもいい点と注意すべき点があるので、展開したい事業や手元のリソースを考慮した上で設立するといいでしょう。

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